一般社団法人日本研究皮膚科学会

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学会について

理事長挨拶

理事長 名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学 森田 明理

 2020年12月の理事会において日本研究皮膚科学会(Japanese Society for Investigative Dermatology: JSID)の理事長に選出して頂きました。私の様な若輩者がこのような大役を仰せつかりまして身の引き締まる思いです。
 私は、基礎医学の研究室(京都大学医学研究科薬理学教室 成宮周教授)で大学院、米国のUCSFの免疫学教室(Jason Cyster博士)でポスドク、産業医科大学皮膚科(戸倉新樹教授)、京都大学医学研究科創薬医学融合拠点(成宮周拠点長)、京都大学皮膚科(宮地良樹教授)で研究を行って参りました。これらのキャリアは、JSIDと共に歩んできたと言え、私にとっては思い入れの強い学会です。特に思い出深いのは、2008年に京都で開催された国際研究皮膚科学会(International Investigative Dermatology: IID)の大成功であり、島田眞路理事長のリーダーシップのもと、戸倉新樹事務総長をはじめ、オールジャパン体制で臨みました。私は当時まだ38歳のひよっこ研究者でしたが、いろいろな場に借り出していただき、日本全体から沸き上がる皮膚領域研究への情熱、そして世界と伍していこうとするJSIDのメンバーの強い熱量を感じました。しかしながら、現在は2008年と比べ、JSIDは元気がなくなってきたように正直感じます。
 幸い、2023年5月には国際研究皮膚科学会(International Societies for Investigative Dermatology: ISID)は東京にて開催されます。アジア開催は15年に一度しか巡ってきません。ISIDの理事による投票で東京開催へと導くことができた成功裡には、天谷雅行先生、佐藤伸一先生、森田明理先生をはじめ多くの方々のご尽力と、日本の研究が世界トップレベルにあることが挙げられます。このような学術領域は、他の領域を見渡してもなかなか見当たりません。この誇れる過去の成果・業績を我々は引き継ぎ、そして次世代にバトンタッチしていく責任があります。そのためには、ISID2023の成功が大切な鍵となります。
 ところで、ISID2023の成功とは一体何でしょうか?JSIDは、学術的にレベルの高いプログラムを提供し、国内外の方がsocialな意味でも参加して良かったと感じる会を開催することです。そしてさらに大切なことは、JSIDの会員の皆様が皮膚研究への情熱を高め、世界においてプレゼンスを示し、そして次世代を育成する事が挙げられます。会員の皆様におかれましては、ISID2023に向けて何か目標を立て、それを実現していただきたいと思っています。
 若い方(大学院生やポスドクなど)はoral presentationに選出されることを目標にしたり、国内外の研究者と知り合いを増やしてみてはいかがでしょうか?JSIDの年次総会自体も英語で開催され、海外から多くの参加があります(2021年1月現在ではコロナの影響を受けていますが2023年には状況も好転するはず)。意外と世界は身近なところに存在しますよ。
 指導的立場(教授やスタッフ)の方は、より多くの教室員にあらためて研究の魅力を伝えて欲しいと思います。日本で開催されることにより低いハードルでISIDに参加できるはずです。また、きさらぎ塾・あおば塾・アジアきさらぎ塾に若手を参加させる機会を提供して欲しいと思います。
 私個人にとってのISIDの成功とは、「JSIDの会員が、大学医局という垣根を越え、世界の研究者と交流を深めることにより、よいサイエンスを実践していく場を形成すること」です。
 現在日本では、アカデミアの衰退や大学の疲弊が叫ばれています。基礎研究を続けることが大変困難である現状を私も承知していますが、先人にしろ、必ずしも恵まれた環境で研究してきた訳ではありません。自分の目の前の疑問や好奇心を大切にして、それを解き明かすことを私たち自身が楽しみ、そしてその喜びを次の世代に伝えていくことがアカデミアの大切な役割です。そしてそれをサポートしていく事がJSIDの使命と考えます。会員の方からの生の声を聞くことはとても大切ですので、いつでも気軽に何でも相談してください。
 一方、昨今の研究事情を振り返ってみますと、以前は自身の所属する教室内に留まっていても、トップレベルのサイエンスを行うことは可能でした。しかし今はマルチオミクス、シングルセルRNAシークエンスなどの科学技術の進歩はめざましく、今後は益々、共同研究が大切になるのは自明であります。臨床医、臨床研究医、基礎研究者、企業研究者が、共同作業を通じて研究を進めていくことが必須となりわけですが、JSIDをはじめ、日本の研究はいまだ横の繋がりが脆弱であると言わざるを得ません。従って、JSIDがもっと開かれた学会にならなければなりませんし、その橋渡しをすることが我々の一つの重要な役割と考えます。ISID開催を契機にJSIDの横の連携やdiversityの推進を目指したいと思います。
 すでにご存知の方が多いかと思いますが、国際研究皮膚科学会の名称が、IIDからISIDヘと変更になりました(http://isiderm.org/)。これまで国際研究皮膚科学会は、米国研究皮膚科学会(SID)・欧州研究皮膚科学会(ESDR)・JSIDの三つの学会の合同研究会でした。しかしながら、ISIDでは、JSIDのみならずアジア・オセアニアが一体となって参加することにより、真の国際研究皮膚科学会へと発展することを目指しています。JSIDがリーダーシップを取りながら、韓国研究皮膚科学会(KSID)、台湾研究皮膚科学会(TSID)、オーストラリア研究皮膚科学会(ASDR)、中国研究皮膚科学会(CSID)、シンガポール研究皮膚科学会(SRSS)などと共に、この記念すべきISID2023を成功へと導きましょう。

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